陥没乳頭がかゆいのは病気?原因と対策│治療法や放置するリスクも解説
- 2024年6月14日
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陥没乳頭が突然かゆくなると、何か病気になってしまったのではないかと不安に思う方もいるでしょう。
陥没乳頭がかゆくなる原因はさまざまですが、中には重大な病気のサインが隠れている可能性もあるため注意が必要です。
本記事では、陥没乳頭がかゆくなる原因や対策について解説します。
放置するリスクや治療法も解説していますので、陥没乳頭のかゆみに悩んでいる方や、治療を検討している方はぜひ、本記事を参考にしてください。
陥没乳頭(陥没乳首)とは
陥没乳頭(陥没乳首)とは、乳頭が平坦または乳輪よりへこんでいる状態の乳首のことです。
日本人女性の10~20%が陥没乳頭を持って生まれるとされており、乳房の発達とともに症状が明らかになるため、思春期ごろまでは経過観察されます。
陥没乳頭の主な原因は、母乳を作る乳腺と乳管(母乳を乳首まで運ぶ管)との発達のバランスの悪さです。
乳腺に対して乳管が短いと、乳首が内側に引っ張られてしまうため、陥没乳頭になるとされています。
陥没乳頭によって起こる可能性がある問題は、次のとおりです。
- 汚れが溜まりやすい
- 授乳障害がおこる
- 乳頭の炎症や乳腺炎が起こる
見た目だけでなく、授乳の妨げになったり病気を引き起こしたりする可能性が気になる方は、陥没乳頭の治療を検討しましょう。
また、陥没乳頭にはいくつかの種類があり、引っ張るなどの刺激で乳頭が出るものを「仮性陥没乳頭」、強い刺激を与えても出ないものを「真性陥没乳頭」と呼びます。
陥没乳頭についてはこちらでも詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
陥没乳頭・乳首がかゆい原因
陥没乳頭の方に限らず、乳首のかゆみは誰にでも起こり得ます。
乳首がかゆくなる主な原因は、次のとおりです。
- 汚れ
- 乾燥
- ホルモンバランスの乱れ
- 妊娠・授乳
- 接触性皮膚炎・アレルギー性皮膚炎
- 感染症
- 乳がん
それぞれの原因について、詳しく見ていきましょう。
汚れ
陥没乳頭の方に多い原因とされているのが汚れです。
陥没乳頭は乳頭がへこんでいる分、汗や皮脂といった汚れが溜まりやすい傾向にあります。
そのため、蒸れた状態の乳頭に雑菌が繁殖し、かゆみの原因になるのです。
特に、夏場や運動後など大量の汗をかいたときにかゆみが出たり、強くなったりすることがあります。
乾燥
乾燥も陥没乳頭の方に多いとされるかゆみの原因のひとつです。
乳頭が乳輪よりへこんでいる陥没乳頭は、正常な状態の乳首に比べて刺激に弱いとされています。
肌の自衛機能が働きづらいため乾燥しやすく、かゆみを感じやすいので注意しましょう。
また、乾燥肌の場合、陥没乳頭でなくてもかゆみが出やすくなります。
乾燥している部屋で長時間過ごしたり、お風呂上がりにきちんとタオルで水分をふき取らなかったりすると、かゆみを感じやすくなるでしょう。
ホルモンバランスの乱れ
生理前などでホルモンバランスが乱れると、乳首が敏感になってかゆみを感じやすくなる場合があります。
生理が原因でホルモンバランスが乱れている場合、生理が終わるにつれてかゆみは治まっていくでしょう。
ただし、睡眠不足や栄養不足、過度のストレスなどによってもホルモンバランスは乱れるため、注意が必要です。
規則正しい生活を心がけたり、ストレスを発散させたりして、ホルモンバランスを整えましょう。
妊娠・授乳
妊娠や授乳も乳首がかゆくなる原因のひとつです。
妊娠するとホルモンの分泌量が変化するため、ホルモンバランスが乱れやすくなり、乳首が敏感になります。
また、妊娠後期には乳汁が分泌されることで乳頭や乳輪が蒸れ、かゆみを引き起こす可能性も考えられます。
授乳中は、赤ちゃんが乳首を吸う刺激が原因でかゆみが発生する可能性があります。
乳首を吸う力は赤ちゃんによって異なりますが、乳首に負担がかかると傷がつく場合があり、痛みやかゆみにつながることがあるのです。
接触性皮膚炎・アレルギー性皮膚炎
乳首の炎症によってかゆみの症状が出ている可能性もあります。
下着のサイズがバストに合っていない場合、下着にこすれることにより痒くなる場合があります。
また、下着や洋服の素材だけでなく洗剤や柔軟剤などが原因でアレルギー反応が起き、かゆみを感じるケースも考えられるでしょう。
感染症
乳首や乳房の傷などから菌が入り、感染症を引き起こしている場合にもかゆみの症状が現れます。
また、乳首が奥に引っ込んでいる陥没乳頭は、カンジダなどの感染症を引き起こすこともあるといわれているため、注意が必要です。
乳首や乳房を清潔に保ち、菌が繁殖しないように心がけましょう。
乳がん(乳房パジェット病)
乳がんの初期症状としてかゆみが起こっている可能性もあります。
乳首のかゆみ以外にも、次のような症状が見られる場合は注意が必要です。
- 赤み
- ただれ
- 出血
- かさぶた
これらの症状が続く場合、乳がんの一種である「乳房パジェット病」の可能性があります。
早期に適切な治療を受けるためにも、異変を感じたらすぐに病院を受診しましょう。
陥没乳頭・乳首のかゆみを改善・予防する方法
陥没乳頭や乳首のかゆみは、対策によって改善・予防できる可能性があります。
かゆみを改善・予防する具体的な方法は、次の4つです。
- 下着の素材や形を見直して刺激を減らす
- 低刺激のボディソープを選ぶ
- 保湿ケアをする
- 生活習慣を改善する
それぞれの対策について詳しく見ていきましょう。
下着の素材や形を見直して刺激を減らす
下着の素材やサイズを変えることで、かゆみが改善する可能性があります。
下着の素材によってアレルギー反応が起きている場合や、下着がバストの大きさに合わずにこすれている場合は、これらを見直すことでかゆみが治まるかもしれません。
また、汗などの汚れによってもかゆみが生じます。
そのため、特に夏場は通気性の良い下着を身につけるようにし、乳首周りが蒸れないようにしましょう。
低刺激のボディソープを選ぶ
乳首は刺激に弱い部位のため、ボディーソープで洗う場合は低刺激のものを使用するのがおすすめです。
しっかり洗おうとアルカリ性の石鹸や刺激の強いボディーソープを使ってしまうと、乳首が荒れたり、乾燥したりする可能性があります。
バストは弱酸性のボディーソープで優しく洗うようにすると、刺激によるかゆみを抑えられるでしょう。
保湿ケアをする
バストを乾燥から守るには、入念な保湿ケアも大切です。
入浴後や授乳後は、ワセリンや敏感肌用の保湿クリームなど、肌に優しいものでバストを保湿するようにしましょう。
最近は、授乳後の乾燥を防ぐための「乳頭ケアクリーム」なども販売されているため、授乳による乾燥が気になる方は検討してみてください。
生活習慣を改善する
ホルモンバランスの乱れによってかゆみが起きている場合は、生活習慣を改善することで症状が改善する可能性があります。
睡眠不足や栄養不足、スマホの長時間使用などは、ホルモンの分泌を妨げる恐れがあるため、規則正しい生活を心がけましょう。
陥没乳頭を放置するリスク
陥没乳頭自体は重大な病気ではないため、すぐに治療が必要なわけではありません。
ただし、陥没乳頭を放置すると次のようなリスクがあることを知っておく必要があります。
- かゆみ・臭いの原因になる
- 乳腺炎のリスクが高くなる
- 授乳がしにくくなる
- コンプレックスになってしまうことがある
それぞれのリスクについて、詳しく見ていきましょう。
かゆみ・臭いの原因になる
陥没乳頭は、乳頭が乳房の奥に引っ込んでいるため雑菌が繁殖しやすく、かゆみや臭いの原因になりやすいといえます。
清潔に保とうと意識していても、汚れの溜まりやすさや洗いづらさから、正常な乳頭よりどうしても不衛生になってしまうのです。
特に、夏場はへこんでいる乳頭に汗や皮脂が溜まり、強いかゆみや臭いを感じる場合もあるでしょう。
乳腺炎のリスクが高くなる
不衛生な状態が続くと、乳腺炎のリスクが高くなる恐れもあるため注意が必要です。
乳腺炎とは乳腺に炎症が起きている状態で、乳輪の下にしこりができたり、乳輪などから膿がでたりするなどの症状が起こります。
陥没乳頭は、正常な乳頭に比べて乳腺炎になるリスクが非常に高いとされているため、気をつけましょう。
授乳がしにくくなる
陥没乳頭の重症度によっては、授乳がしにくくなる可能性があります。
指で引っ張ったりすると簡単に乳頭が出てくる軽度の陥没乳頭であれば大きな問題にならないことが多いです。
しかし、引っ張ってもでてこない重度の陥没乳頭であれば、授乳が難しくなってしまう可能性も考えられます。
コンプレックスになってしまうことがある
陥没乳頭は乳房の発達とともに明らかになるため、思春期ごろまでは経過観察となる場合がほとんどです。
しかし、乳房が発達して陥没乳頭であることがわかると、コンプレックスに感じるケースがあります。
陥没乳頭が悩みになってしまっている場合は、治療を検討するのも選択肢のひとつです。一人で悩まず、病院を受診し医師に相談してみましょう。
陥没乳頭の治療法
陥没乳頭は症状の程度によって治療法が異なります。
陥没乳頭の主な治療法は、次のとおりです。
- 軽度の場合:吸引器などによる保存的治療
- 重度の場合・保存的治療で治らない場合:手術
各治療法について詳しく見ていきましょう。
軽度の場合:吸引器などによる保存的治療
指で引っ張ると簡単に乳頭が出てきて、その状態がしばらく続くような軽度の陥没乳頭であれば、保存的治療で改善することもあります。
保存的治療とは、人体から出血させずに治療する方法の総称で、手術と反対の意味で用いられる言葉です。
吸引器を使った治療のため身体を傷つけることなく、症状が改善するケースもあります。
重度の場合・保存的治療で治らない場合:手術
保存的治療では治らない重度の陥没乳頭の場合は、手術が必要です。
対象 | 治療方法 | |
---|---|---|
縫縮法 | 中度~重度の陥没乳頭 | 陥没している乳頭を糸で引き上げて埋没の糸で引き締める |
切開法 | 埋没法では対応できない重度の陥没乳頭 | 乳頭を切開して引っ張り上げる |
陥没乳頭についてのよくある質問
陥没乳頭についてよくある質問をまとめました。
Q:陥没乳頭のかゆみが続く場合は病院を受診すべき?
陥没乳頭のかゆみが続く場合は、病院の受診をおすすめします。
下着の見直しや保湿などを行ってもかゆみが改善しない場合、重大な病気が潜んでいる可能性があるため、病院で診てもらいましょう。
たとえ重大な病気でなかったとしても、かゆみを改善する方法やケア用品を提案してもらえるでしょう。
Q:陥没乳頭の治療に保険は適用される?
陥没乳頭の手術を行う場合、以下の条件を満たせば保険が適用されます。
- 40歳未満
- 今後授乳の予定がある
- 陥没乳頭が原因と思われる乳輪下膿瘍を繰り返す場合
両側の陥没乳頭を同時に手術した場合の費用目安は、3割負担で約5万円です。
Q:陥没乳頭の手術は傷跡が残る?
陥没乳頭の傷跡は、術後3~6ヵ月程度で目立たなくなります。
ただし、完全に傷跡が消えるわけではないため注意してください。
また、術後に傷跡が白くなることもあるため、乳頭の色が濃い方は傷跡が目立ちやすくなる可能性があります。
まとめ
本記事では、陥没乳頭がかゆくなる原因や対策について解説しました。
陥没乳頭がかゆくなる主な原因は、次のとおりです。
- 汚れ
- 乾燥
- ホルモンバランスの乱れ
- 妊娠・授乳
- 接触性皮膚炎・アレルギー性皮膚炎
- 感染症
- 乳がん
また、かゆみを抑える対策としては、以下の方法が挙げられます。
- 下着の素材や形を見直して刺激を減らす
- 低刺激のボディソープを選ぶ
- 保湿ケアをする
- 生活習慣を改善する
ただし、上記の対策を試してもかゆみが改善しない場合、重大な病気が潜んでいるかもしれません。
少しでも違和感がある場合は、病院を受診するようにしましょう。
石神井公園駅前皮フ科は、女性医師が在籍するクリニックです。
陥没乳頭のかゆみでお困りの方、治療・手術を検討されている方は、お気軽にご相談ください。