イボ(尋常性疣贅,ボーエン様丘疹症、青年性扁平疣贅)
- 2019年2月11日
- 皮膚外科
イボは、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV;human papillomavirus)が皮膚に感染してできます。イボのウイルスは正常の健康な皮膚には感染できないのですが、小さな傷などがあるとそこから皮膚に入り込んでイボをつくります。
HPVには色々な型があって150種類以上もの型が見つかっています。この型の違いによって、感染しやすい場所や、できるイボの種類(見ため)が異なります。
ある種の型(普通のイボをつくるものとは異なります)が、子宮癌や皮膚癌などの原因になっていることも分かって来ています。
最も普通に見られるのが、手足にできるイボで、尋常性疣贅です。尋常性疣贅以外では、顔や腕にできることの多い扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)や外陰部にできる尖圭コンジローマやボーエン様丘疹症などがあります。
尋常性疣贅がHPV2型や57型など、扁平疣贅が3型や10型など、尖圭コンジローマが6型や11型など、ボーエン様丘疹症がHPV16型などを主な原因とすることが分かっています。HPV16型は、子宮癌の原因として注目されている型でもあります。
イボの治療
1)液体窒素による冷凍凝固(保険適応)
保険適応での標準治療です。液体窒素を浸した綿棒でイボを冷凍凝固します。冷凍により皮膚に炎症が起こり、からだの免疫が活性化してイボを排除します。
1週間に1回の頻度で行います。痛みを伴うのが欠点ですが、確実性があり最も良い方法です。 液体窒素をスプレーで噴出させて、イボを治療する方法もあります。
お子さんなど痛みに弱い方はご相談ください。
顔や頚部に多発するイボでは、治療によりイボはなくなっても、炎症後色素沈着をおこすことが多く、後述する炭酸ガスレーザーがよいことがあります。
2)漢方薬(ヨクイニンなど)内服(保険適応)
ハトムギのエキスのヨクイニンがもっとも一般的に使用されます。青年性扁平疣贅は内服のみで良くなることも多いと言われます。
また免疫を高める漢方薬が有効な場合もあります。
妊娠中は内服できません。
3)べセルナクリーム(尖圭コンジローマのみ保険適応、他のイボは保険適応外自費診療)
尖圭コンジローマに使用される薬剤です。尋常性疣贅の治療に使用できますが保険適応外になります。
自費診療では薬価は1包1,170円で5包以上は必要になります。。
イボの部位に1日1回、週3回、就寝前に塗布します。塗布後はそのままの状態を保ち、起床後に塗布した薬剤を石鹸を用いて洗い流します。
4)手術
保険適応ですが、イボの治療では手術は通常行いません。イボはウイルス性の病気なので、切ってもウイルスが傷に残っていれば再発するからです。
足底などで1つしかない古い硬くなったイボで、液体窒素でなかなか治らない時は手術をおこなったほうがよい場合があります。
5)炭酸ガスレーザー(保険適応外自費診療)
イボを炭酸ガスレーザーで蒸散させる方法です。
単発(一つのみ)で初期の場合や顔面・頚部に多発するイボの治療に使われます。
顔面や頸部では直径0.5mm、1mm、1.5mm、2mmといった非常に小さく限定された領域をレーザー照射できるので、治療後の炎症後色素沈着が最小限に抑えられ、顔、頚部、胸などに多発する小さなイボの治療に適しています。
他に自費診療として、レーザーを併用することもありますが、一度では効果が少なく、痛みが強く、またレーザー単独での完治は難しいです。