女性ホルモン「エストロゲン」には、肌の弾力を保つコラーゲンや水分量を増やす働きがあり、肌の若さを保つといわれます。エストロゲンは卵巣から分泌されますが、卵巣機能は30歳代後半から衰え始めるため、エストロゲンの分泌量も徐々に減少します。そして、閉経前後の更年期に入ると急激に減少し、肌トラブルが生じやすくなります。

1.肌が乾燥して痒くなる、肌のハリツヤがなくなる

エストロゲンには、皮膚に潤いや弾力性を与えるコラーゲンの産生を助ける働きがあります。更年期以降にエストロゲンが減少すると皮膚や粘膜の乾燥や不快感が気になることがあります。さらに、皮脂膜や角質層が薄くなるので、皮膚のバリア機能が低下して、刺激に敏感になる人もいます。さらに、ホットフラッシュで汗をかいて痒くなる、皮膚がピリピリする、また、かかとのひび割れや割れやすいツメなどに悩まされる人も多いと思います。適切な保湿剤の使用をお勧めします。更年期女性向けのクリームなどもご紹介しております。是非ご相談ください。

2.シミ

エストロゲンには表皮細胞のターンオーバーを亢進し、紫外線による表皮細胞のダメージを弱める作用があります。色素性細胞に対してはメラニン色素の生成を促進します。加齢によりエストロゲンが減少するとシミの元となるメラニンの生成も減りますが、紫外線によるシミの増加の方が目立つことが多いです。日焼け止めを使用していただくとともに、保湿やトラネキサム酸、ビタミンの導入、血行の改善などで肌の状態を良くしておくことも大切です。エレクトロポレーションやテノール、フォトフェイシャルによる肌の改善がお勧めです。

3.抜け毛が増える

女性でも更年期以降に髪が薄くなる悩みは多く聞かれます。女性も男性ホルモンが分泌されており、更年期以降に女性ホルモンの分泌量が減った場合は相対的に男性ホルモンの影響が強まります。そのため、髪の加齢変化として抜け毛や薄毛になるケースがあります。全身の副作用がない、女性用に適切な濃度のミノキシジル含有の塗り薬やさらに効果を高く、痛みもないエレクトロポレーション（メソアクティス）がお勧めです。

他にもお化粧ではなかなか隠せない首のシワやシミ、イボ、手の甲のシミ、シワなどの悩みが増えて参ります。痛みのある治療やダウンタイムの長い治療はなかなか難しいものです。若いところは違った化粧品にすべき場合もございます。フォトフェイシャル、エレクトロポレーション、テノールなどの日々の生活に取り入れやすい治療をご提案しております。お勧めのスキンケア用品もご用意しておりますので是非ご相談ください。

更年期の不調はホルモン補充療法が必要な場合もあります。症状が比較的軽度であったり、他の病気などでホルモン補充療法が難しい場合は漢方薬もお勧めです。更年期症状によく使われる漢方薬で皮膚症状に重要なものには下記のものがございます。

1.加味逍遙散（かみしょうようさん）

更年期で一番よく使用される漢方薬です。乱れた気のバランスを整え、過剰な熱を抑えてくれるので、イライラや抑うつなどの精神不安やのぼせ、ホットフラッシュにお勧めです。

2.温経湯（うんけいとう）

体力中等度以下で、手足がほてり、唇がかわく方の不眠、髪が抜ける、皮膚の乾燥や爪が割れる、こむら返りなどの症状にお勧めの漢方です。

3.当帰芍薬散（とうきしゃくやくさん）

体力がなく、消え症で貧血の傾向があり疲れやすい方の更年期障害に。ベッドに入っても手足が冷たくてなかなか寝付けなかったり、いつもなんとなくだるさを感じている方におすすめの漢方薬です。むくみにもおすすめです。

4.柴胡加竜骨牡蛎湯（さいこかりゅうこつぼれいとう）

不安神経症や対人恐怖症などによく使われる漢方薬です。気を整え、鎮静してくれる生薬がしっかり配合されているため、不安感や恐怖感が強い、眠れないなど更年期の神経症を改善します。また動悸や不眠にも対応し、更年期に起こりやすい症状に幅広く対応します。比較的体格の良い人におすすめです。