乾癬
- 2019年2月12日
- 一般皮膚科
乾癬
皮膚が赤く盛り上がり、その表面を覆う銀白色のかさぶたがフケのようにポロポロと剥がれ落ちる皮疹が多発する病気です。
乾癬の皮疹は全身のどこにでも出ますが、こすれる場所に出やすいという特徴があり、肘、膝、腰回り、頭部などに生じやすい傾向があります。爪の病変や間接症状を伴うこともあります。
<原因>
まだ完全にはわかっていませんが、乾癬になりやすい遺伝的素因があることはわかっています。遺伝的素因に様々な環境因子(不規則な生活や食事、ストレス、肥満、感染症、特殊な薬剤など)が加わると発症すると言われています。
<種類>
(1)尋常性乾癬
乾癬の90%を占めます。肘、膝、腰回り、頭部などの擦れやすい部分や刺激を受けやすい部分によく見られ、全身に広がることもあります。
(2)滴状乾癬
数mm~1cm大の小さな皮疹がたくさん出ます。子供や若年者に多く、風邪や扁桃炎などの感染症が誘因となって起こることが多いと言われています。数か月で治癒することが多いです。
(3)膿疱性乾癬
白い膿を持った発疹が多数発生し、発熱や倦怠感を伴うことがあります。放置すると全身状態が悪化する場合もあります。
(4)乾癬性紅皮症
乾癬の皮疹が全身に出現して、全身の皮膚の90%以上が赤くなった状態です。発熱、倦怠感、関節痛などを伴うことがあります。
(5)乾癬性関節炎
乾癬に伴って関節の痛み、腫れ、こわばり、変形などの関節症状を伴う状態で、乾癬患者の約15%に合併すると言われています。
<治療>
治療は外用療法、紫外線療法、内服療法、注射療法の4つに大きく分けられます。
(1)外用療法
最も基本となる治療法です。
①ステロイド外用薬
強い抗炎症作用により効果を発揮し、効き目が早いのが特徴です。
②活性型ビタミンD3外用薬、ステロイドと活性型ビタミンD3の配合外用薬
乾癬では皮膚の角化スピードが通常の10倍になるといわれており、活性型ビタミンD3は皮膚の異常角化を抑える働きがあります。効果が出るのは少し時間がかかりますが、症状が落ち着いている時の維持に適しています。
③治療用AhR調節薬
芳香族炭化水素受容体(AhR)を活性化することにより様々な遺伝子に働きかけ、皮膚の炎症を抑制します。
(2)紫外線療法
紫外線を照射し、免疫の働きを抑えることで乾癬の症状を改善する治療法です。
使用する紫外線の種類によって、UVAを使用する「PUVA療法」、UVBを使用する「UVB療法」「ナローバンドUVB療法」「エキシマライト」などに分けられます。当院ではナローバンドUVBとエキシマライトによる治療を行っています。

ナローバンドUVB エキシマライト
(3)内服療法
外用療法で効果が不十分な中等症から重症である場合に用いられます。
①ビタミンA誘導体 チガソン
皮膚の細胞が過剰に作られることを抑えます。
口唇の乾燥、手足の皮むけなどの副作用や、胎児への影響(男女ともに避妊が必要)に注意が必要です。
②免疫抑制剤 シクロスポリン
過剰に働いている免疫反応を抑えます。
血圧上昇や腎機能障害などの副作用に注意が必要です。
③PDE4阻害薬 オテズラ(アプレミラスト)
乾癬患者さんの皮膚や免疫細胞では、PDE4が正常より多く存在して免疫バランスの異常が生じています。PDE4の働きを抑えることで免疫バランスを整えて乾癬の症状を改善します。主な副作用として吐き気、下痢などが起こることがあります。
④TYK2阻害薬 ソーティクツ(デュークラバシチニブ)
乾癬には様々なサイトカイン(炎症性物質)が関与しており、TYK2はサイトカイン受容体からの炎症シグナルを伝える役割を担っています。TYK2の働きを抑えることにより、TYK2が関わる免疫反応を抑えることで乾癬の症状を改善します。
感染症にかかりやすくなるリスクがあるため、定期的に採血検査やレントゲン検査が必要です。
⑤JAK阻害薬 リンヴォック(ウパダシチニブ)
乾癬性関節炎の患者さんに適応があります。
皮膚や間接の病巣部では一部のサイトカインが通常より増えて炎症が起こり、皮膚の症状や関節の腫れ・痛みを引き起こします。JAKはサイトカイン受容体からの炎症シグナルを伝える役割を担っています。JAKの働きを抑えることにより、炎症を引き起こすシグナルが伝わるのをブロックして、皮膚や関節の炎症を抑えます。感染症にかかりやすくなるリスクがあるため、定期的に血液検査やレントゲン検査が必要です。
(4)注射療法(生物学的製剤)
乾癬の症状を引き起こす原因となる主なサイトカイン(TNFa、IL-23、IL-17)をピンポイントで抑える治療薬です。外用療法や内服療法で十分な効果がみられない場合に用いられます。感染症にかかりやすいリスクがあるため、定期的に血液検査やレントゲン検査が必要です。
①TNFa阻害薬
レミケード(インフリキシマブ):初回投与後2週間後 6週後、 以降は8週毎に点滴注射
ヒュミラ(アダリムマブ):2週毎に皮下注射 自己注射が可能
シムジア(セルトリズマブ):2~4週毎に皮下注射 自己注射が可能
②IL-12/23阻害薬
ステラーラ(ウステキヌマブ):初回投与後4週後、以降は12週毎に皮下注射
③IL-17阻害薬
コセンティクス(セクキヌマブ):初回から4週目までは1週毎、以降は4週毎に皮下注 自己注射が可能 小児(6歳以上にも使用可能)
トルツ(イキセキズマブ):初回投与から12週まで2週毎、以降は4週毎に皮下注射 自己注射可能
ルミセフ(ブロダルマブ):初回投与後1週間、2週後、以降は2週毎に皮下注射 自己注射可能
ビンゼレックス(ビメキズマブ):初回から16週までは4週毎、以降は4週または8週に皮下注射 自己注射可能
④IL-23阻害薬
トレムフィア(グセルクマブ):初回投与後4週後、以降は8週毎に皮下注射
スキリージ(リサンキズマブ):初回投与後4週後、以降は12週毎に皮下注射
イルミア(チルドラキズマブ):初回投与後4週後、以降は12週毎に皮下注射