円形脱毛症
- 2019年2月11日
- 一般皮膚科
円形脱毛症
円形脱毛症の病型と症状
頭髪や眉毛(まゆげ)、髭(ひげ)が抜けてしまいます。
原因は成長期の毛包がリンパ球の攻撃を受けて壊されてしまうからです。どうして、自分のリンパ球が自分の毛包を攻撃してしまうのか、その理由は完全には分かっていませんが、毛包を標的にした自己免疫病ですので、リンパ球の攻撃が抑えられれば元通りの毛が生えてきます。
昔からストレスとの関連が言われていますが、「かかりやすい体質」つまり、遺伝的素因をもつ人に身体的、精神的負荷がかかることにより、通常はコントロールされている免疫の働きに異常をきたし、円形脱毛症になると考えられています。
アトピー性皮膚炎や甲状腺の病気を伴う患者さんもいます。近年では血中の亜鉛の低下との関連が指摘されています。自己免疫性疾患である甲状腺疾患や膠原病なども円形脱毛症と関連するといわれています。
以下の4つの型があります
- 1)通常型
小型の脱毛斑が1個(単発型)から数個あります。もっとも多い型です。 - 2)全頭型
頭髪のほとんどが脱毛します。 - 3)汎発型
頭髪のみならず全身の体毛も脱毛します。 - 4)蛇行型
頭髪(とくに後頭部から側頭部)の生え際に沿って脱毛します。蛇行型は小児に主にみられ、難治のことが多いです。
円形脱毛症の治療法
日本皮膚科学会では円形脱毛症診療ガイドラインを作成しています。病気が始まってからの期間と脱毛面積に応じて治療法を決めていきます。
始まったばかりで小範囲しか脱毛していない場合は、ステロイドなどの外用療法やセファランチンなど内服療法で様子をみます。エキシマライトも拡大を抑えるのに有効です。
1)外用療法
最初におこなう治療は局所の自己免疫反応と炎症を抑えるステロイド外用剤です。脱毛部の血の流れを良くする塩化カルプロニウム液(フロジン液、アロビックス液)があります。
2)ステロイド局注療法
成人ではステロイド(ケナコルト注射液)を脱毛部に直接注射すると効果的です。
子供ではおこないません。ステロイドの局所注射は痛みを伴うことと、副作用として注射したところがへこんでしまうことがあり得ること、注射部分にだけ毛が再生することが難点で、広範囲な場合は不適当な治療です。
3)内服療法
飲み薬はグリチロン、セファランチンを内服します。
アトピー性皮膚炎も関係していると思われる場合は抗アレルギー剤の内服が使われます。
急速に拡大する場合はステロイドを内服すると難治の場合効くことがありますが、数ヶ月以上も続けると糖尿病などいろいろな副作用が起きますので、2~3ヶ月で内服を中止して、抜けてしまう場合は再び内服することはできません。また子供さんには成長障害を引き起こすことがあるので、使用できません。
4)冷凍療法
液体窒素を用いた冷凍療法も効果があります。液体窒素を浸した綿球を軽く脱毛部に押し付けます。
5)エキシマライト
エキシマライトUV308は、尋常性白斑、尋常性乾癬、掌蹠膿疱症、アトピー皮膚炎、円形脱毛症などの皮膚疾患を治療する最新の紫外線治療器です。
波長308~311nm付近の光を照射する従来のナローバンド治療器とは異なり、より効果の高いと考えられる308nm付近の紫外線に限局して照射します。
ナローバンド治療器は照射面積が大きく、円形脱毛症の部位に選択的に照射することが困難です。
エキシマライトUV308は照射野が小さく、円形脱毛症の治療には最適です。痛みなく治療を受けることができ、保険適応になっております。※3割負担:1000円弱(別途で再診料がかかります)
1〜2週間に数回行うとより効果的です。
※局所免疫療法
SADBE(squaric acid dibutylester)、DPCP(diphenylcyclopropenone)という化学薬品を脱毛部に塗って人工的に接触皮膚炎をおこすことで、免疫を変えて脱毛症状を改善する治療法です。
保険適応になっていません。
※当院では局所免疫療法はおこなっていません。